フワフワの猫っ毛に寝ぐせを見つけてつい触れて撫でたくなってしまう。
 手を伸ばしかけて、ドキドキしている自分に気づいて引っ込めた。

 違うく見えるのは、多分気持ちを自覚したから。

 今みたいにちょっとした瞬間に可愛いなって思ったり、カッコイイなって思ったり……久保くんの仕草一つ一つに目が行ってしまう。


 恋をするってこんな感じなんだね……。

 ちょっとのことでこんなにも嬉しくなる。
 胸に温かい気持ちが宿る。

 ドキドキして、恥ずかしいって思うときもあるけどそれも嬉しくて……。


 初めての感覚に、あたしは戸惑いつつもその喜びをかみしめていた。


 ふと、視線を感じて顔を上げると友達三人が微笑ましいという言葉を顔に張り付けてあたしを見ているのに気づく。

「な、何?」

「いやー微笑ましいなぁと思って」
「でもまさか美来が選んだのが彼とは……ちょっと意外」
「そーかなー? でも最近の彼なら納得出来なくもないんじゃない?」

 しのぶ、香、奈々の順に言い当てられて「ぅえっ⁉」と変な声が出る。

「な、何のコトカナ⁉」

「いや、美来表情に出やすいからバレバレ」

「ぅぐっ」

 誤魔化そうとしてみたものの香にズバッと言われてしまう。

 そうだ……顔に出やすいあたしが嘘とかまず無理なことだった……。


「ま、あたしたちは美来の幸せを願ってるからねー。見守るよ。相談にも乗るし!」

「ありがとう、奈々」