「おはよー」
「おはよー。今日の差し入れも凄いね」
「あはは……」

 香に挨拶と共に言われた言葉にあたしは苦笑いを返す。

 朝登校した時点であたしの腕にはいくつものラッピングされたお菓子が乗っていた。
 しのぶと一緒に第一学生寮で朝ごはんを食べてから教室に来るまでの間に貰ったものだ。

 今までなかったことだけど、原因はあたしのファンが急増したせいみたい。

『美来さんの可愛さがみんなに理解されて嬉しいわ』

 そう言ったのはファンクラブの人数が増えたことに管理が大変と言いつつ嬉しそうにしていたすみれ先輩だ。

 彼女の話では《美来さんは可愛いファンクラブ》に入会希望する生徒が後を絶たないのだとか。
 ただ、「可愛いより美しいじゃない?」という声も聞こえているからもしかしたら第三のファンクラブが出来るかも知れないと聞かされた。


 いや、ファンクラブとかもうお腹いっぱいです。


 地元でも似たような人達はいたけれど、こんないくつも種類が分かれるようなことはなかった。

 さすがマンモス校と言うべきか……。
 人数が多いと予測もつかないことになってしまうのか。


 まあとにかく、そうやって人数が増えたことで今までは何となく控えていた差し入れというものを躊躇いもなく渡してくる人が現れた。

 その最初にあたしが断っていればここまで増えることはなかったんだろうけれど……。