「……きっとお前が心配するようなことにはならないよ」


 それは、予測でしかないけどある程度の確信もある。

 美来が気にしているのは小中学生の頃の話だ。


 昔から無自覚に人をたらし込んでくる美来を好きになるやつは沢山いた。

 それこそ男女関係なく。

 そのせいで誰か特定の相手と二人きりで出かけたとか、美来が不用意に誰々が好きだと口にしてしまうと、翌日にはその相手がいじめのターゲットになっていたことがたまにあった。

 そういうことが何度か重なって、美来は誰か特定の人と出かけたり……恋人を作ったりとかはしないことに決めていたようだ。


「……そう、かな?」

 背中を押して欲しい美来は不安そうな顔をしながらも期待に満ちた目を俺に向けた。


 今美来を取り巻いている男連中は不良が多いけれど、理不尽な理由で痛めつけたりはしない。

 高峰銀星に関しても、調べてみれば思ったより悪い奴らじゃなさそうだしな。

 ……まあ、警戒は必要だろうけど。


「……それに、久保なら俺もまあ賛成するよ」

「ふへっ⁉」

 恋の相手を言い当てられて驚き恥じらいの表情を見せる美来。

 やっぱり久保か。
 しかも珍しいな、美来がもう自覚してるなんて……。