「お前ら……」

 さらに冷たく低くなる声に、あたしが怖くて涙目になりそうだ。


 勇人くんが心を決めていつもの仲の良い双子に戻ったのは良かった。

 でも勇人くんの言葉からすると、諦めないってのは告白を断ってもってことだよね?


 告白を断るのはいつも申し訳ない気持ちになってしまう。
 仲の良かった友達なら尚更。

 だからある意味お断りはしなくて良いってことで良かったとも言える……のかも知れない。

 でも、あたしが一人を選んでも諦めないってことだから……。


「美来」
「好きだよ」

 如月さんの表情に怯えながらも考えていると、両側から甘い声が聞こえた。

 そして――。


 チュッ


「………………へ?」

 なんか、二人の顔が近いなって思った次の瞬間。

 あたしの両頬に柔らかいものが触れてリップ音が聞こえた。


 そして目の前の如月さんがガタン! と椅子を鳴らして驚く。


 今、もしかしてほっぺにキスされた?

「っな⁉」

 理解し、固まる。

 そんなあたしの顔を覗き込む二つの可愛い顔は、イタズラが成功した子供みたいに嬉しそうだ。

 無邪気なほどの二人に、あたしは一つだけ告げる。


「頬へのキスは……許してないんだけど?」