とにかく、あの転入生のことは少し気にしておいた方がいいかもしれない。


 幸い幹人が同じクラスでしかも隣の席だ。

 幹人に言っておけば何かあれば報告するだろう。


 あとは気にした方がいいかもしれないことをここで言うべきかどうか……。

 あくまで“かも知れない”だし、なんとなく言いたくはないと思う。


 そう考えていると、《星劉》の双子が話し出した。

「《かぐや姫》じゃないなら逆に良かったかもな。俺達美来気に入ってるし」
「そうだな、総長達が探してる《かぐや姫》だったら俺達で遊べねぇからな」

 青頭が言い、赤頭が同意する。


 すると、俺の後ろで幹人も話し出した。

「あ? 美来ってあの地味女か? おい、あいつに先に目を付けたのは俺だぞ? 手ぇ出すんじゃねぇ」

「そんなん知るかよ。大体名前も覚えてなかったくせに先に目を付けたとか、笑わせるよな」

 幹人の軽い威嚇に青頭が両手のひらを上に向けるジェスチャー付きで馬鹿にする。


「地味女のくせに意外と度胸あって面白そうだと思ったばかりだからな。でもてめぇらに渡すくらいならさっさと俺のオモチャにするさ」

 青頭の挑発にムッとした幹人だったが、余裕の笑みを浮かべてそう言った。

「俺は同じクラスだからな。お前らよりあいつに近ぇし」

「……同じクラスだからって、逃げられたら終わりじゃん? 俺達は兄のかなちゃん経由で近付くから確実だし」

 青頭の言葉に、そういえば兄がいたなと思い出す。