「それで? お前たちは何か情報を掴めたのか?」

 俺が座ると同時に怜王が本題を切り出した。

 効率重視なこいつらしい。


「それがさっぱりだね。今年は範囲をさらに広げてみたんだけれど、情報は一切なしだ」

 先に答えたのは千隼だ。

 千隼は自分が動かせる範囲で坂本グループの人間を使って情報を集めている。

 俺や怜王とは違う伝手(つて)だから、期待していたんだが……。


「……こっちも情報は無しだ。ったく、青みがかったグレーの瞳なんて目立つ目ぇしてんのに、何でこうも情報が集まらねぇのか……。そういうお前はどうなんだ? 怜王」

「こっちも同じだな。もっと範囲を広げるべきか? ……いや、見落としがあったという可能性もあるが……」

 怜王は俺の問いに答えつつ、一人で考察を初めてしまった。

 そんな怜王の言葉に千隼が反応する。


「見落としか……。そういえば、今日転入してきた彼女はどうだった?」


 転入してきた彼女――あいつか。


 幹人にわざわざ連れて来させた女。

 地味のお手本のような格好で、すぐにないなと思った。

 だが一応良く見てみることにしたのは、きつく結ったロープみたいな黒髪が案外綺麗だったからだ。

 月に照らされた彼女の髪に、少し重なったから……。