地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 倉庫の中には跳び箱やマット、卓球台などが所狭しと置いてある。

 その片隅の大き目のクリーンロッカーに道具をしまっていると、バタバタと誰かが倉庫に近づいて来る足音がした。


「んだよ⁉ 引っ張んなっての!」

 苛立った声が聞こえる。
 ただ、その声は聞き覚えのあるもので……。

「ん? 何だ? 久保の声?」
 明人くんがそう言って少し入り口の方を見ると、もう一つ声が聞こえてきた。

「話があるって言ってんでしょ⁉ 早く来てよ!」

 気の強そうな女の子の声に、あたしは何故かピタッと動きを止めた。


 久保くんが、女の子と一緒にいる?

 たったそれだけのことなのに、何だか嫌な気持ちになる。


 別に久保くんは女嫌いとか言うわけじゃないし、何なら少し前までは色んな女の子と関係を持っていたみたいだった。

 でも最近は遊んでいないみたいだったし、女の子と一緒にいるところを見た覚えがない。

 だから今の久保くんがあたし以外の女の子と一緒にいるというのがちょっと信じられないと思ってしまった。


 うん、多分……そのはず。
 最近見ていない光景だから、信じられないって思っているだけ……。