「お、美来。お疲れ~」
「掃除そろそろ終わるか?」

 あとはゴミを捨ててきて道具を片すだけだったあたしに、二つの同じ声が掛けられた。

「勇人くん、明人くん。どうしたの?」

 わざわざあたしを探しに来たような彼らにちょっと驚く。

 なにかあったのかな?


「いや、ちょっと様子を見に来ただけだけどさ」

「様子?」

 明人くんの言葉に首を傾げる。

 聞き返した言葉には勇人くんが答えてくれた。

「昼に《かぐや姫》としてみんなの前に出ただろ? 今までと周囲が変わって戸惑ってないかなーとか思ってさ」

「ああ……」

 それを指摘されて、あたしは何とも言えない笑みを浮かべることしか出来ない。


「まぁ……クラスの人はそこまで態度が変わったりとかはなかったから」

「そうなのか?」

 明人くんの驚く声に、あたしは昼休み以降の様子を思い出した。


 クラスの人たちの態度はあまり変わりなかった。

 しのぶをはじめ、香や奈々とか仲の良い友達はちょっと興奮気味だったけどそれ以外に変わった感じはない。

 他のクラスメートはソワソワしている様子も見て取れたけれど、特に話しかけたりということもなかったし。

 前にあたしをいじめていた子たちは様子がおかしかったけれど、何か悪いことをするようには見えなかったから大丈夫でしょう。