「あの三人が揃ってる⁉」
「何よあの地味な子⁉」
「あ、まさかあの子が噂になってる《かぐや姫》なの⁉」

 非難じみた驚きの声がここまで聞こえてくる。

「もしかして素顔見せてくれるんじゃねぇの?」
「へぇー。でもよ、あの地味子が眼鏡取って髪解いただけでそこまで変わるかぁ?」

 面白がっているような声も聞こえてきた。


 そう。
 そういう人たちに素顔を見せて、あたしを《かぐや姫》だと認めさせるための小芝居を今しているんだ。

 さっき如月さんはお披露目と言っていたけれど、その通りだと思う。

 お披露目をして、《かぐや姫》だと認めさせて、黙らせる。

 ちょっと強引だけど、一番効果的で手っ取り早いんだ。


 それでも納得しない人は現れるだろうけれど、生徒会長だけじゃなく二人の総長まで出てきた。

 この三人に逆らうような真似をする人は中々いないだろう。


 痛いくらいの視線を感じる。

 地元ではこんな風に注目を浴びることもたまにあった。
 でも、今はそれなんて比じゃないくらいの注目度だ。

 流石にちょっと緊張してくる。

 でも、あたしがやることは一つだけ。


「……じゃあ、眼鏡を取るよ?」

 坂本先輩が確認しながらあたしに近づく。
 何も言わないことで、了解の意志を伝えた。