特に今日は夏休み直後でもあるため、誰かが情報を得ている可能性が普段より大きい。

 少しは期待もしてしまう。


 ……まあ、自分のところでは何も掴めなかったのだから期待するだけ無駄かもしれないが。


 会議室に入ると千隼と怜王がすでに座っていた。

 千隼は同じ生徒会役員でもある二年の男を一人連れている。
 将来は千隼の秘書を務める予定で、今から付き従っているのだそうだ。

 まあ、名前は忘れたが……。

 でも、まるで千隼という王子を守る騎士のように常に傍にいるから、俺は内心騎士野郎と呼んでいた。


 そして怜王はいつもの赤青コンビを連れている。

 この二年の双子が《星劉》のNO.2とNO.3らしいが、どっちがどっちなのかは分からない。

 まあ、分かったとしても何かが変わるわけではないが。


「遅かったね。さあ、座って」

 千隼が王子様らしい微笑みを浮かべてそう(うなが)す。


 ったく、本性は全く違うくせに……。


 そうは思うが、坂本グループの跡取りなんだからそうしなきゃならないってことは俺も分かっているつもりだ。

 だがそうやって本心を隠すようになってしまったから、俺と千隼は疎遠になってしまったとも言える。