押し黙ったあたしを見て、奏は「はぁ……」とため息をついてスマホを操作し始める。

 そのまま視線をスマホ画面から外さずに口を開いた。


「まあ、デートだったとしてもお前が危惧するようなことにはならないだろうけど……」

 と一度言葉を切り、視線だけをあたしに向ける。


「それにあの二人がお前の嫌がることをするとは思えないけど……でもまあ、一応俺も行くよ」

「え? でも奏は誘われてないよね?」

 かなちゃんはいいから、と言われた手前連れて行くのも気が引ける。

 でも奏は何でもないことのようにスマホに視線を戻し続けた。


「別に、一緒に行くわけじゃない。しのぶとどこか行こうかって話はしてたから、こっちはこっちで同じとこに行くってだけだよ」

「……」

 いつの間にそんな約束を取り付けていたのか……。

 でもしのぶはそれでいいのかな?
 そっちはそっちでデートするって言うけれど、奏は多少なりともあたし達の方気にしながらになるだろうし……。

 そんなデートでしのぶ怒らないかな?


 心配しながら奏をジッと見る。

 ……怒らないんだろうな。


 今までも奏と付き合った子はそこそこいる。
 そういう彼女がいても、奏のあたしへの過保護は変わらない。