「ちなみに、どうして分かったんだ?」

 勇人くんが聞いてくる。

「え? それは言葉の選び方とかニュアンスとか……。違いが分かると結構ハッキリ違うよね?」

 聞き分けたんだから、当然そういうところの違いが分かったってことだ。

 それ以外に何があるっていうのか。



 明人くんはちょっとぶっきらぼうっていうか、周囲を気にしてない感じ。

 勇人くんはそんな明人くんのフォローをしたり、周りに気を使ってる感じがする。

 それが言葉に現れていたから気付いてみると案外分かりやすかった。



「マジで? 髪隠しても俺らのこと見分けたり聞き分けたり出来るやつって片手に収まるくらいしかいねぇんだけど」

 明人くんが驚愕といった様子であたしを見る。


 えー? 片手は流石に少なすぎじゃない?


 思ったことが表情に現れてたんだろう。
 勇人くんが困り笑顔で説明してくれた。

「本当だって。母親と、もう一人の身内。あと如月さんだけなんだよ」

「え? 本当にそんなに少ないの?」

 思わず聞き返してしまう。


 でも二人はそれには答えずお互いに顔を見合わせる。

 髪色が違ってなければ、そのそっくりな顔のどちらかが鏡なんじゃないかと思ってしまいそうになる。

 その顔が同時にニヤリと笑みの表情を作った。