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 《月帝》と《星劉》にバレてしまった以上校内にあたしが《かぐや姫》だと知れ渡るのは時間の問題だろうと坂本先輩は言う。

 昨日は言いふらすであろう《月帝》と《星劉》の人達が学校に来ていないから騒ぎになっていなかったけれど、今日来てみんながあたしを探し回ったりすれば他の生徒にも周知されてしまうって。

 それはもう仕方のないことだから良いけれど、校外の人も来る文化祭中に盛大な追いかけっこをするわけにもいかない。

 だから今日は初めから生徒会室にこもる予定だ。

 でもその辺りの説明を他の生徒会メンバーに説明しないわけにもいかないということで、朝のうちに生徒会のみんなにもあたしが《かぐや姫》だと知ってもらうことになった。


「――そういうわけで、《かぐや姫》は美来さんだったんだ。だから今日は避難するという意味でも生徒会室から出ないようにしてもらうつもりだ。みんな承知して欲しい」

 簡単に経緯を説明した坂本先輩に促されるようにあたしは立ち上がる。

 言葉だけじゃ信じてもらえないだろうから、おさげを解いて眼鏡も取った。


「その……そういうことなので今日はあまりお役に立てないかもしれません……すみません!」

 ペコリと頭を下げて、どんな反応が来るのか恐る恐る顔を上げる。

 そうして目に入ってきた表情は揃ってポカンと口を開けたもの。