翌朝、あたしと奏は早朝に寮を出た。

 昨日は大丈夫だったけれど、今日は流石に騒がしくなるだろうから。


 あたしが《かぐや姫》だと《月帝》と《星劉》のみんなに知れ渡ってしまった。

 八神さんや如月さんはもちろん、二年前からあたしを探していたという三年生。
 そして一昨日の夜初めて《かぐや姫》を目の当たりにした二年と一年。

 みんながあたしの元に殺到するだろうって昨晩久保くんにも言われた。


 どうして一年生と二年生まで? と不思議に思っていたら呆れられたっけ。

「それだけ抗争を止めた美来が凄かったってことだよ」

 と言われたけれど、あたしは必死に歌っていただけだからやっぱりピンとこなかった。


 なんにせよ、バレたからには特に総長の二人には詰め寄られそうだとは思う。

 それを回避するためにも、みんなが登校する前に生徒会室に避難しておかなくちゃならない。


「よし、何とか誰にも会わずに来れたな」

 本当はあたしにつき合わなくてもいいのに、あたし一人だと不安だと言ってついて来てくれた奏が安心したように言う。

 ちょっと過保護すぎるんじゃないかなぁと思ったけれど、生徒会室のドアを開けた途端その過保護に感謝した。