地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 まあ、見分けるというなら髪色で見分けられるだろう。

 髪色なんてそう簡単に染め変えられないし。
 ここまで綺麗に染まっているなら尚更だ。

 でも……。

「聞き分ける?」

 意味は分かるけれど、状況が理解出来ない。

 首を傾げていると勇人くんがニッと笑った。


「あんたも試してみるか?」

「え?」

 どういうことか聞き返そうとしたけれど、その前に明人くんに肩を引かれてそのままくるくると回される。

「え? ちょっ、待って」

 勇人くんも加わったのか二人がかりで回される。

「め、めがぁぁぁ……」

 回る……。


 くらくらふらふらしたところに、どちらか分からない方の腕が首に回された。

 気付くと、後ろから肩を抱かれるような格好になっていた。


 反射的に抵抗しようと思ったけれど、その前に左耳の後ろから声が掛けられる。

「これで見えねぇだろ?」

 すぐ近くで男の子の声がしてゾワッとなった。

 可愛い顔はしているけれど、声変りを終えているそれはしっかり男の声だったから。


「さ、どーっちだ?」

 今度は反対側の右耳からも声がした。


 ど、どどどどっちだって!?
 分かるわけないでしょ!?