クソッ!
 ふざけんな!

 また失敗した。

 この二年チャンスをうかがって、今度こそ目的を果たせると思ったのに!


 またあの女のせいだ。


 二年前、何であんな女があの場所にいたのかは知らない。

 でもまあ、たまたまだったんだろう。

 誰にとっても想定外のことだったから。


 だから、二年前のことは仕方がない。

 仕方がないが、まさかあれで《月帝》と《星劉》がまとまってしまうなんて……。

 その想定外は本気でいらなかった。


 おかげで亀裂を入れるのも簡単なことじゃあなくなったし、この二年なかなかチャンスを掴めなかった。


 それでも二年前のことを直接知る上級生が卒業して行って、知らないのに《かぐや姫》を探させられる下級生が多くなって……。

 不満も募って来てそろそろ、と思っていたところに《月帝》の下っ端が退学させられる事態になった。

 それこそチャンス到来ってやつだ。


 俺はここぞとばかりに裏から煽り立てて、事態を収拾不可能にまで追いやる。

 そうしたら案の定二人の総長は二年前と同様の判断を下した。


 つまり、意図的に抗争を起こして発散させるというやつだ。

 その準備を進めていくやつらの裏で、俺も準備を進めていく。