「……なぁ、連。お前、ああいうお子様を好きに育てるのも好きだとか言ってたよな?」

「ん? ああ、そういえば言ったっけ?」

 あやふやな記憶だったのか疑問形で返された。

 まあ、別にそれはいい。


「理解出来ねぇと思ったけど……俺も育ててみたくなったわ」

「へー? 銀星が? あの子、お前にそこまで思わせたんだ。そういう意味でもすげぇな」

 口笛を吹きながら楽し気に目を光らせる連。

 今のでこいつもあの女に興味を持ってしまったかも知れない。


 まあでも、俺が狙ってるうちは手を出さないだろう。

 連はそういう奴だ。


 だから気にせずどうやってあの女を俺のところに来させるか考えを巡らせる。

 その思考を邪魔するように、隣の遥華が口を開いた。


「ちょっと……あんたが美来を狙うの邪魔するつもりはないけどさ、あの子を泣かせるのだけは許さないからね?」

 見てみると本気の目をしていた。

「お前がそこまで言うのも珍しいな。気に入ってんのか?」

「モッチロン! 可愛いし面白いしさー。けっこーグイグイ行っても引かずにあたしの相手してくれてんだよ? あんな子好きになるなっていう方が無理だって!」

 そこまで言う遥華に流石に本気で驚いた。