休むって言ったって……ボーッとするしか出来ないし、そうなると今晩のことばかり考えちゃう。

 大丈夫なのかな? って、不安ばかりが募る。


 やっぱり手伝いに行こうかと思い始めたとき、教室の外から声が掛けられた。

「……美来? お前、まだ残ってたのか?」

 聞き覚えのある声に視線を向けると、そこには久保くんがいた。

「久保くん……」


 教室に入ってきた久保くんは、あたしの近くまで来ると少し視線をさ迷わせて口を開いた。

「その、もう帰った方が良いんじゃねぇか? 明日に備えてよ」

「……」

 言葉を選ぶように言う事で、この後の抗争にあたしを巻き込まない様にしているんだなって分かる。

 抗争があることをあたしが知っていると知らない久保くんは、さりげなくあたしを帰そうとしてるみたい。


「おい、まだ誰かいるのか?」

 なんて言おうかと考えていると、またドアの方から聞き覚えのある声がした。


 そこにいたのは明人くん。

 彼はあたしより先に久保くんの姿を見て軽く息を呑んだ。

「っ!」

 ピリッとした空気が流れる。


 思わずあたしまで緊張してしまうと……。

「あ、美来じゃん。どうしたんだ? 早く帰らねぇの?」

 と、勇人くんも顔を出した。