そして、決行の日。

 文化祭前夜。


 学校の生徒達が翌日の文化祭に浮足立ちながら、明日に備えてと寮に帰っていく。

 いつもなら遅くまで残っている人もいるらしいけれど、坂本先輩が色々と手を回したみたいで夜には関係者以外校内に残らない様にしていた。


 短い時間ながら今日のために色々と準備をしたけれど、本当ならあたしが出るようなことにならないのが一番いい。

 坂本先輩が話してくれたシナリオ通りなら、抗争がはじまってある程度みんなが発散出来たところで総長達の一騎打ちに持ち込み、互角の戦いを見せた後引き分けという形にする予定なんだそうだ。


 そんなキレイに収まるものなのかな? と疑問に思ったけれど、「そう言う風に人心を操作することも出来るんだよ?」と黒い笑顔で言われたのでそれ以上深くは聞かないことにした。


「……ホント、何事も起こらなきゃいいんだけど……」

 夕日で橙色に染まっていく外を見つめながら、あたしは教室で一人呟いた。


 奏としのぶは準備をするからと言ってあたし一人を残してどこかに行っちゃったし……。

 あたしも手伝うと言ったのに、今は休んでおいてと残されてしまった。