地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

「あ、如月(きさらぎ)さん。待ってくださいよ!」

 そう言って赤頭もあたしの横を通り過ぎて行く。

 青頭も同じように通り過ぎようとしたけれど、ふと何かに気付いたようにあたしを見た。


「そういえば、何でかなちゃんの妹がこんなトコいんの?」

「え? あ!」

 今のやり取りでつい忘れそうになっていたけれど、あたし遭難しかけてたんだ!


 やっと見つけた道案内出来る人。

 不良と関わりたくはないけれど、今ばかりは致し方なし!


「あのっ! あたし、ちょっと無理やり北校舎に連れていかれてて……。解放はしてもらったんだけれど迷っちゃって……」

 続く言葉を何と言おうか少し迷う。


 案内してほしいは図々しすぎる?
 ここは無難に東校舎の場所を聞くだけに留めた方がいいかな?


 迷っていると、青頭の方が先に口を開いた。

「何だ、じゃあ俺達について来れば? 今東校舎に向かってるとこだから」

「い、良いの?」

「まあな。それに《星劉》のテリトリーウロチョロされたくねぇし」

 そう言って青頭も総長――如月さんを追いかけて行く。


 一瞬躊躇ったけれど、あたしはすぐに彼らを追いかけた。

 それ以外に戻る方法はなかったから。


 はぐれない様に、でも少し離れながら付いて行く。

 どうやらここは西校舎のかなり奥の方だったらしく、しばらく静かな廊下を彼らと進んで行った。