宮根先輩は何故か目をキラキラさせているし、首振り人形の子(いまだに名前を知らない)はやっぱりコクコク頷いているし。

 なっちゃんは少し心配そうな目で見ているけど、そのすぐ近くには昨日助けた一年がうっとりした表情であたしを見ていた。


「美来様……おかわいそうに」
「でも麗しさは倍増した気がするわ」
『それね!』

 なんて会話が聞こえてくるんだけど……。

 とりあえず、邪魔になるからいっそ教室に入ってきてくれればいいのにと思った。


 すると、今度はそんな彼女達の横から可愛い顔を心配そうなものに変えた状態の双子が教室内に入って来る。


「美来、昨日は大丈夫だったか?」
「かなちゃんは大丈夫そうだって言ってたけど……」

「あ、二人ともおはよう」

 二人に向かって笑顔を向ける。

「大丈夫だよ。心配かけてごめんね?」

 心配をかけないための無理やり作った笑顔じゃない。

 久保くんのおかげでスッキリしたあたしは、ちゃんと心からの笑顔を浮かべることが出来ていた。


 ただ、その笑顔を見た双子はそろって同じように止まってしまう。

「……大丈夫そうで良かった……でもその……」
 と勇人くんがあたしを凝視するように見つつ戸惑いの言葉を口にする。