結局胸の締め付けとか顔が熱くなってきたのとかの理由は分からなかった。

 というか、最後は久保くんの方が赤かったし。


 まあとりあえず、久保くんのおかげで泣くことも出来てスッキリした。

 あとは貰ったケーキでも食べて元気を出さないとね。


 久保くんに感謝して、あたしは嫌な感情を残すことなく穏やかな気持ちになれたのだった。



 ……翌朝。

「……なんかスッキリした顔してないか?」

 部屋を出てすぐに顔を合わせた奏にそう言われる。

「そ、そう?」

 泣いたらスッキリしたと言えればいいんだけれど、奏にはあまり泣いたことは言いたくなくて誤魔化そうとしてしまう。


 顔もあの後すぐに冷やしたし、それほど()れぼったくなってはいないはず。

「あー、久保くんがケーキ持ってきてくれてさ、甘いの食べたから色々落ち着いたのかも」

 あながちそれも間違ってはいないし。

 なんて思いながら説明したんだけれど納得してくれたかどうか……。


「ふーん。……ま、元気なったならいいけど」

 納得したかは微妙だったけれど、突っ込んで聞かれなかったのでホッとする。


「じゃあ朝ごはん食べに行こうか!」

 元気よくそう言って先に歩き出したあたしは奏のつぶやきを聞いていなかった。


「……久保が泣き場所か……」