「え? 何?」
聞きながら、差し出されたものを思わず受け取る。
両手で持てるくらいの白い箱にはお店のものと思われるシールが貼ってあった。
「……ケーキ?」
よく見るケーキ屋さんの箱だった。
「ああ……その、後で食えよ」
「えっと、ありがとう。でもどうしたの? 突然ケーキなんて」
わざわざお店のケーキを食べるような特別なことでもあったかな?
特別な日じゃなくても食べることはあるけれど、わざわざあたしにまでくれるとなると何かがあるとしか思えない。
でも久保くんは「あー」と迷うように声を上げてから顔をそらして言葉を紡いだ。
「……その、嫌なことがあったときは甘いものでも食って忘れたほうがいいだろ?」
「え?」
「髪、切られたって聞いたから……」
「……」
それを聞いて、わざわざケーキを買ってきてくれたってことだろうか。
胸にポッと温かいものが宿る。
同時に、心の奥底に押し込めた悲しみがあふれ出てきた。
まるで、氷の壁で閉じ込めていた悲しみの雨が、その温かさで溶かされてしまったような……。
「っあ……」
グッと我慢することもできず、自然と涙があふれてきてしまった。
聞きながら、差し出されたものを思わず受け取る。
両手で持てるくらいの白い箱にはお店のものと思われるシールが貼ってあった。
「……ケーキ?」
よく見るケーキ屋さんの箱だった。
「ああ……その、後で食えよ」
「えっと、ありがとう。でもどうしたの? 突然ケーキなんて」
わざわざお店のケーキを食べるような特別なことでもあったかな?
特別な日じゃなくても食べることはあるけれど、わざわざあたしにまでくれるとなると何かがあるとしか思えない。
でも久保くんは「あー」と迷うように声を上げてから顔をそらして言葉を紡いだ。
「……その、嫌なことがあったときは甘いものでも食って忘れたほうがいいだろ?」
「え?」
「髪、切られたって聞いたから……」
「……」
それを聞いて、わざわざケーキを買ってきてくれたってことだろうか。
胸にポッと温かいものが宿る。
同時に、心の奥底に押し込めた悲しみがあふれ出てきた。
まるで、氷の壁で閉じ込めていた悲しみの雨が、その温かさで溶かされてしまったような……。
「っあ……」
グッと我慢することもできず、自然と涙があふれてきてしまった。



