地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

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 ジョキッ

 ジャキッ


 少しずつ、慎重に髪が切られていく。

 しのぶは丁寧に切ってくれてるから、髪を切られても悲しいとか嫌だとは思わなかった。


 彼女から息が詰まるくらいの緊張を感じて、真剣に切ってくれてるんだなと思う。


 そんなしのぶが「ふぅ……」と息を吐いてあたしの髪から手を離す。


「さ、出来たよ」

 そう言ってケープ代わりのタオルを取り手鏡を渡してくれた。


 鏡に映ったあたしの髪はちゃんと左右対称。

 切られた方もちゃんと整えてくれている。


 そうして出来上がった髪型は――。

「美来、本当の《かぐや姫》みたいだね?」

「やっぱり、そう見える?」


 いわゆるお姫様カットになったあたしは、長い黒髪ということもあってまさに《かぐや姫》っぽかった。



 その後は一度第二学生寮に帰っても良かったけれど、夕飯の時間まで一時間弱ということもあってしのぶの部屋でおしゃべりして待つことにした。