地味同盟～かぐや姫はイケメン達から逃れたい～

「……美来、無理してるでしょ？」

「え……？」

「美来のこと全部知ってるわけじゃないけど、今無理して笑ってることだけは分かるよ？」

「っ！」

　見透かされていた。

　そして、指摘された途端あたしの笑顔ははがれてしまう。


　いつも感情が顔に出やすいと言われるあたしだけれど、泣くのを耐えるときの笑顔だけは結構うまく出来ると思ってたのに……。


「……もう、どうして分かっちゃうの？」

　泣きはしない。

　ショックは受けていたけど、泣くほどのことじゃ無い。

　それに、すぐ近くに奏もいるから……。


　泣いたら、奏に余計な心配を掛けちゃう。


　ゆっくり、深く呼吸をして荒れそうになる感情を押し流した。


「……少なくとも、いつもの笑顔じゃないことくらいは分かるよ」

　眉尻を下げて微笑むしのぶに、あたしも同じような笑顔を返す。

「はは……そっか」

　心の中の悲しみの雨が少し弱まった気がした。

　しのぶはそれくらいあたしのことを気にかけていてくれてるってことだから。


「……美来は自分の髪大事にしてたもんな」

　今まで黙っていた奏がそう言ってあたしの頭をポン、と優しく叩く。

「……うん」


　そう。
　結構……ううん、すごく大事にしていた。