たまーにまともに先生の話を聞いているときもあるけれど、基本は寝ている。

 しかも、起きていてもあたしの方をジーッと見てきていたりして、授業を受けているとは言えない気もする。


 でもとにかくサボらずに授業には出ているから、確かに女の子と遊び歩いてる様子はないかも知れない。


 久保くん、本当に変わったんだねぇ。

 ……うん、やっぱり今の久保くんの方が好きだなぁ。


 軽い驚きと共にそんな風に思った。


「っ! だとしても、俺は食べたりしませんよ!?」

「そう? まあでも、警戒しておくに越したことはないわ」

「ですから!」

「さ、美来さん。早く戻りましょう? 今日の分の仕事早く終わらせなくちゃ」

 高志くんを無視してすみれ先輩はあたしの背を押して生徒会室に戻るように促した。


「お、俺はただ可愛いなと思っただけで……別にやましい気持ちは……ない。ああ、ないはずだ……」

 後ろからついて来た高志くんはなにやらぶつぶつ言っているけど、すみれ先輩は聞く耳すら持たない様子。

 まあ、独り言っぽいし良いのかな?


 さっきの今で生徒会室に戻るのは抵抗があったけど、二人がいたからか坂本先輩はいつもの王子様スマイルになっていた。

 やっぱり二人きりにはならない様にしなくちゃな、と改めて思った。