スマホは教室に置いたままになっているカバンの中だ。
今のあたしは本当に手ぶらの状態。
いっそメモ帳とペンがあれば、自力で地図でも作りながら一昔前のゲームみたいに攻略していったのに……。
脳内地図だと限界がある。
それでも出来る限りどこに何があるか覚えながら歩かないと堂々巡りになってしまう。
だから脳をフル活用して脳内地図を埋めていくのに必死だった。
必死だったから、気付かなかった。
曲がった角の先に、人がいたことに。
ドンッ
と、結構思い切りぶつかってしまう。
丁度頭を整理しようと下を見ていたのも悪かった。
数歩後ろにたたらを踏んだだけで済んだけれど。
「っごめんなさい!」
人がいたこと自体にも驚いたけれど、まさかぶつかってしまうとは。
あたしはすぐに謝った。
……けど、そのまま固まってしまう。
だって、ぶつかった相手は見ただけで不良と分かる風貌だったから。
ホワイトシルバーの髪に、ノンフレームの眼鏡。
両耳にはシンプルな赤いピアスがあった。
涼し気な面立ちは見る人を惹きつけるけど、冷たい眼差しが惹きつけた人を凍らせでもするかのようだ。
そんな冷たい目が、また二年前の記憶と一致する。
今のあたしは本当に手ぶらの状態。
いっそメモ帳とペンがあれば、自力で地図でも作りながら一昔前のゲームみたいに攻略していったのに……。
脳内地図だと限界がある。
それでも出来る限りどこに何があるか覚えながら歩かないと堂々巡りになってしまう。
だから脳をフル活用して脳内地図を埋めていくのに必死だった。
必死だったから、気付かなかった。
曲がった角の先に、人がいたことに。
ドンッ
と、結構思い切りぶつかってしまう。
丁度頭を整理しようと下を見ていたのも悪かった。
数歩後ろにたたらを踏んだだけで済んだけれど。
「っごめんなさい!」
人がいたこと自体にも驚いたけれど、まさかぶつかってしまうとは。
あたしはすぐに謝った。
……けど、そのまま固まってしまう。
だって、ぶつかった相手は見ただけで不良と分かる風貌だったから。
ホワイトシルバーの髪に、ノンフレームの眼鏡。
両耳にはシンプルな赤いピアスがあった。
涼し気な面立ちは見る人を惹きつけるけど、冷たい眼差しが惹きつけた人を凍らせでもするかのようだ。
そんな冷たい目が、また二年前の記憶と一致する。



