忙しい日々を過ごしながら、また八神さん達のところにお使いを頼まれやしないかとビクビクしていたあたし。


 お昼は今まで通りローテーションでそれぞれのテーブルで食べていたけれど、あたしも八神さん達も忙しいのかあまり一緒になる事はなかった。

 一緒になったとしてもどちらかがすぐ居なくなる状態。

 だからお昼の時間は何か言いたそうな視線を投げかけられるだけで終わっていた。


 そんなだから、またお使いなどで彼らの所に向かわせられると困る。

 でも本来直接かかわるようなことはあまりなかったみたいで、もう彼らの元へ行くような仕事はなかった。


 まあよく考えてみれば、仮にも不良の集まりである“暴走族”と生徒会が関わるようなこと自体普通はない。

 じゃあこの間の書類は何だったのかってことになるけれど、知ったところで何かが変わるわけでもないからあまり気にしなかった。


 そんな感じで、忙しくはあるけれど大きな問題はなく文化祭の準備は進められて行く。


 そして、恐れていたことが起こったんだ。




「じゃあ高志、悪いけれどそのことを先生に説明してきてもらえるかい?」

「あ、はい……ですが千隼様、私が出たら人手が……」

 控えめにだけど坂本さんの指示に抵抗を示す高志くん。
 あたしは書類整理をしながらそれを密かに応援していた。

 だって、今高志くんがいなくなるとあたしは坂本さんと二人きりになってしまうから。


 坂本さんは正直得体は知れないので、二人きりになるのはホント勘弁してもらいたい。


「人手なら美来さんがいるじゃないか。しばらくは大丈夫だから、行って来てくれ」

「あ……はい」

 控えめな抵抗は控えめなままで終わる。