「あ、ああ」

 如月さんがあたしの素早い行動に戸惑っている間に、さっさと理科準備室の出口へ向かう。

 髪ゴムは如月さんが持ったままだけれど、今日はちゃんと予備を持ち歩いているから大丈夫。


 あたしだって、銀星さんのときのことでちゃんと学習したんだから。


「じゃあ、失礼しました!」

 最後にもう一度挨拶をしてあたしはドアを閉めた。

 追って来るような足音は聞こえない。

 そうしてやっとあたしは息を吐き緊張の糸を緩めた。


 全く、やっぱり油断するべきじゃなかったってことだね。

 バレてるかどうか以前になんかおかしな雰囲気になっていたし。


 八神さんといい如月さんといい、二年前より少し優しくなっている気がしたから油断しちゃったみたいだ。

 ちょっと気を引き締め直さないとないかな?


 そう思いながら、あたしはやっと生徒会室へと戻れたんだ。