地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 東校舎なら文化部の部室もあるから放課後でも人の気配はあるはずだ。

 北校舎も運動部の部室があるから遠くになら人の気配を感じた。

 でも今は遠くの人の気配も感じられないほど静かな場所にいる。


 マジで、ここどこだろう……。


 人っ子一人いない廊下で途方に暮れる。

 窓の外は恨めしいほどに綺麗な橙色に染まっていた。


 今日は食料の買い出しをしようと思っていたのに……。

 奏、代わりに済ませてくれてるかな?

 ……いや、多分してないな。


 何だかんだ言っても妹思いなあいつはきっとあたしを探してくれてるんだろう。

 実は不良が多い学校だってことを黙っていたことに罪悪感を覚えているのだって知ってる。

 あたしを騙してまでしのぶに会いたかったんだろう。
 その気持ちは、ちょっと分かるし……。


 でもあたしが不良に連れていかれたところを見ていたんだ。

 その罪悪感もあってきっと必死で探してる。


 ……そこまで考えてふと思った。


 奏があたしを探してるのは絶対だ。

 で、奏が見たのは《月帝》のNO.3に連れていかれているあたし。


 ……。

 あたし、北校舎でじっとしてた方が良かったんじゃない?


 頭の中に遭難したときはあまり移動してはいけませんという文字が浮かび上がる。


 あはは。

 本当に遭難しちゃうかも……。