地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

「いや……」

 視線をそらさないままそう言った如月さんは、おもむろにあたしの眼鏡に手を伸ばしてきた。

 反射的にダメ! と思って眼鏡のツルを掴むと、彼の手はピタリと止まる。


「……眼鏡、外してみろ」

「何でですか!? 嫌です!」

 自分で出来なかったからか命じてくる如月さん。

 でもダメに決まってる。
 良いわけがない。


 まさか素顔見るために引き留めたの?

 だとしたら失敗だったかも。

 ちょっと心配だから、とか思ってないでさっさと出て行けばよかった!


 と、少し後悔していると如月さんの眉間に深いしわが出来た。

 あたしの態度が不満なのかと思ったんだけど……。


「……無理やり眼鏡取ろうとしたら、お前泣くか?」

「は?」

 どうして突然泣くとかってなっちゃったの?

 いや、眼鏡取られただけじゃ泣かないし。

 焦りはするけど。


「別に泣かせたいわけじゃないんだ。お前も……《かぐや姫》も……」

「っ!?」

 こっちでも《かぐや姫》の名称が出て軽く息を呑んだ。

 八神さんも何考えてるんだろうって思ったけど、如月さんもどうしてあたしに《かぐや姫》のことを話すんだろう?


 まさかとは思うけど、如月さんにはやっぱりバレて……?