「元々千隼様と星宮さんをあまり二人きりにさせるつもりはなかったし」

「え? そうなの? どうして?」

「え……?」

 元々そのつもりだと聞かされて普通に疑問に思って聞いたんだけど、高志くんはそのあたしの質問に対して何故か戸惑いの表情を見せる。


「あれ? えっと……どうして、だろうな?」
「いや、あたしに聞き返されても……」

 少し考えた高志くんは、改めてあたしを見て口を開いた。

「正直良く分からないが、とにかく君と千隼様を二人きりにしたくないんだ。……今の君を見たら尚更そう思った」
「はぁ……」

 返答に困る。


「コラ高志。見つめ合ってんじゃねぇよ」

 突然、久保くんがそう言って高志くんの首根っこを引っ張った。

「久保! 危ないだろうが!? それに見つめ合ってなんて……なんて……」

 そう言う高志くんは顔をどんどん赤くしていく。


 なんでだろ? そんなに久保くんに引っ張られたこと怒ってるのかな?


 小首をかしげていると、奏がこの場をまとめる様に言葉を放った。

「とにかくこれでコマ――味方が増えたな。これからよろしく頼むよ」

「……」

 今コマって言ったよね?


 久々に見る腹黒さ全開の奏に少し呆れのため息が出る。


 とりあえず、高志くんの拘束そろそろ外してあげようよ。


 と、思った。