「っ……」
軽く息をのんだ様子に、バレてないよね? と少し不安になる。
「えっと、分かってくれましたか?」
ずっとこのままでいるわけにもいかないので聞くと、八神さんは気を取り直したように「ああ」と言って元いた場所に戻ってくれた。
ホッとしてずらした眼鏡を戻す。
すると丁度座りなおした八神さんは、あたしへの興味を失ったように手近にあった雑誌を開きながら言う。
「もう行っていいぞ」
「え?」
いいの? 本当に?
後でやっぱりダメとか言わない?
それを確認したくてじっと見てみたけれど、彼はもうあたしに対して何かをするつもりは全くないみたいだった。
目線すらよこさない。
よ、よし。
帰っていいんだよね?
恐る恐る動き出し、久保くんがいる入り口のところまで来た。
ここまで来て何も言われないんだから本当に帰ってもよさそうだ。
そう安堵すると、少し驚いた表情の久保くんと目が合う。
そうやって目を見開いていると、少し可愛くも見えてしまうのが不思議だ。
「お前、地味で気が弱そうなのに……結構度胸あるんだな?」
八神さんとのやり取りでそう評価されたらしい。
いや、そこまで度胸なんてないよ?
さっきのは奏との約束を守るためにちょっと必死だっただけで。
「隣の席の奴が思ったより面白そうで良かったよ。じゃあまた明日な」
そう言って、初めてあたしに軽く微笑んだ久保くんはあたしの背中を押してドアから廊下に出した。
背後でバタン、とドアの閉まる音がする。
軽く息をのんだ様子に、バレてないよね? と少し不安になる。
「えっと、分かってくれましたか?」
ずっとこのままでいるわけにもいかないので聞くと、八神さんは気を取り直したように「ああ」と言って元いた場所に戻ってくれた。
ホッとしてずらした眼鏡を戻す。
すると丁度座りなおした八神さんは、あたしへの興味を失ったように手近にあった雑誌を開きながら言う。
「もう行っていいぞ」
「え?」
いいの? 本当に?
後でやっぱりダメとか言わない?
それを確認したくてじっと見てみたけれど、彼はもうあたしに対して何かをするつもりは全くないみたいだった。
目線すらよこさない。
よ、よし。
帰っていいんだよね?
恐る恐る動き出し、久保くんがいる入り口のところまで来た。
ここまで来て何も言われないんだから本当に帰ってもよさそうだ。
そう安堵すると、少し驚いた表情の久保くんと目が合う。
そうやって目を見開いていると、少し可愛くも見えてしまうのが不思議だ。
「お前、地味で気が弱そうなのに……結構度胸あるんだな?」
八神さんとのやり取りでそう評価されたらしい。
いや、そこまで度胸なんてないよ?
さっきのは奏との約束を守るためにちょっと必死だっただけで。
「隣の席の奴が思ったより面白そうで良かったよ。じゃあまた明日な」
そう言って、初めてあたしに軽く微笑んだ久保くんはあたしの背中を押してドアから廊下に出した。
背後でバタン、とドアの閉まる音がする。



