なんか詐欺っぽいよ、奏。


「かなちゃん、それ詐欺じゃね?」
 あたしと同じことを思ったのか、明人くんが少し呆れながら言う。

「少し前までの大人しくて可愛いかなちゃんはどこいっちゃったのかなぁ?」
 なんて、勇人くんはわざとらしく泣きまねをする。


「ああ?」

 そんな二人を睨みつける奏は本性を隠す必要がなくなったからか、かなりガラが悪くなっていた。

 でも。


「奏、流石に今のは不良っぽい」
「あ、マジで? 悪い、気を付けないとな」

 あたしが突っ込むと、基本不良嫌いな奏は少し落ち着いてくれた。


「は? 詐欺って……あ!」

 言われるまで気付かなかったのか、高志くんは呟き驚愕の表情になる。

「でも言質は取ったからな。手伝ってもらうぞ?」

 騙されたことに驚く高志くんに、奏はふふん、と鼻で笑い告げる。


 そんなんだから詐欺って思われるんだよ……。


 呆れるけれど、それがあたしのためだってことも分かっているから何も言えない。

 せめて高志くんにあまり不利益にならない様にしようと思った。


 でも、高志くんは怒るでも落ち込むでもなく「まあ、構わないけどな」と答える。