美来の話が終わる頃には日も暮れて来ていた。

 だから双子を帰して、美来も部屋に戻す。

 美来には夕飯を頼んで、この部屋に戻ってこないようにした。


 だから、今俺の部屋にいるのは久保だけだ。

「で? 話ってなんだよ?」

 久保だけは話があるからと引き留めておいた。

 不機嫌そうにしているけど、明らかに戸惑ってる久保。
 目が泳いでるのがその証拠だ。


 以前は俺のことを視界にも入れていなかったみたいだけど、美来が風邪で倒れた日からそういうわけにもいかなくなったか。

 むしろ苦手に思ってるみたいだな。

 でも、それも仕方ないかも知れない。
 こっちに引っ越してきてから、あの日初めて他人に本当の自分を出したから。



『久保、お前はもう美来に近付くな』

 あのときのその言葉を気にしてるんだろう。



 あの日、美来が倒れたとしのぶから聞いてすぐに寮に向かった。

 よりにもよって、美来をセフレにとか言ってた久保に連れて行かれたとか。
 いくら熱に浮かされていたとしてもバカすぎるだろう。

 心の中で悪態をつきながら美来の部屋に行ったけど鍵が閉まっていた。

「チッ!」

 舌打ちをして、今度は久保の部屋のドアを叩く。