無視、しちゃだめだよね……?
そう思って恐る恐る下を見る。
そして力強い眼差しの黒い目と合った。
「っ! ……お前、降りて来い」
息を呑む音の後に命令される。
従いたくなんてなかったけれど、このまま上にいるわけにもいかなかった。
逃げたくても、それにはやっぱりここから降りるしかなくて……。
結果、命令に従うように降りていくしかなかった。
一応はしごはあったけれど、そこまでの高さはないからそのまま命令してきた黒髪のリーダーっぽい人の前に飛び降りる。
そうして立ち上がると、彼はあたしより頭一つ分ほど大きかった。
この人はあたしをどうするつもりだろう?
命令通り降りてはきたけれど、あたしは彼を警戒しつつ逃げ道を探していた。
来た時に使った非常階段は彼らを通り越した先にある。
そっちを目指すよりは、ビルの中に入ってそこから逃げた方が望みがありそうだ。
そんなことを考えてビルの中に入れる出入口をチラッと見ていたせいだろうか。
そのスキをついて腕を掴まれ、引き寄せられてしまった。
「っえ?」
驚いている間に腰を抱かれて顎を掴まれる。
獣のような黒い瞳が、すぐ近くに見えた。



