地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 バキッと、リアルな音があたしのところにまで届いた。

「ひっ!」

 声が出そうになって、慌てて両手で口を押さえる。


 ケンカ自体は、自己防衛のためにやむにやまれずしたことはあたしもある。

 でもそれはほんの数人の相手だったり、ケンカをしても途中で逃げたりと、あくまで自己防衛のためのもの。

 今眼下で繰り広げられているような、血を流しても止めず、逃げることもない本当のケンカを目の当たりにしたことはなかった。


 やだ……怖い……。


 もし見つかったらどうなっちゃうんだろう。

 ケンカに巻き込まれるかな?
 この人数相手に逃げ切れるかな?

 不安しか湧いてこない。


 あたしはギュッと口を引き結び、目をつむり、耳を塞いだ。

 そうしてやり過ごそうと思っていたのに、ふと空気が変わったことに気づく。


 ……何?


 耳を塞いでいた手を離すと、静寂があった。

 でもそれは一瞬のことで、すぐにさっきよりも大きな怒号(どごう)が行き交う。


「ふざけんじゃねぇぞ!?」
「そっちがその気なら俺達だって!」
「っ!? お前ら、何やって!?」

 色んな声が聞こえる。

 さらに増した怖さに、何があったのかと思わず原因を探した。