地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 だからあたしは、スマホをそのまま駅のコインロッカーに入れて夜の街に飛び出した。


 何かをしたいわけじゃないから、ただ人の波に紛れて歩く。

 でも、ふと視線をやった先に交番が見えてハッとした。


 こんな夜中に中学生が一人で歩いていたら補導されてしまう。

 今はまだ、荒れ狂う感情を落ち着かせる事が出来ていない。

 こんな状態で保護されたって、気持ちの整理が出来る気がしなかった。


 それに何より、今は人と関わりたくない。


 だから、交番とは逆方向に進んで人気のない場所を求めてさまよったんだ。


 人気のない場所。

 明かりのない場所。


 暗い場所は危険だと分かっていたけれど、そっちの方向しか選べなかった。

 むしろそんな危険な場所で悪い人にでも会って、ケンカでもすれば気も晴れるだろうかなんて考える。


 そんな暴力しかないケンカなんて、あたしは嫌いだったはずなのに。

 そんな嫌いなことでもしてみようかと思うくらい、どうでもよくなってるのかも知れない。


「バッカみたい……」

 自嘲して、泣きたいのに涙が出てこない目を上に向ける。

 そうしたら、真円(しんえん)の白色が目に飛び込んできた。