そして丁度部屋の中央辺りで止まると、軽く周囲を見回した。
……うわぁ……。
丁度中央を空ける形で壁に近い方にいくつかの塊を作っている不良がいる。
あたしはそれらに囲まれているような状態だ。
緊張か恐怖か。
あたしの呼吸は浅くなる。
でもその呼吸も、部屋の奥……数段高くなっている場所に座る男を見て数秒止まった。
硬質そうな黒髪。
そして同じ色の瞳は燃えるような力強さを感じる。
顔立ちは線の細さも感じられるほどの美形なのに、その目力だけで野獣のような印象を受けた。
多分、この人が《月帝》の総長。
さっき久保くんが八神さんと呼んだ人物だろう。
あたしは彼を見て、昼から思っていたことが的中してしまったことを知る。
生徒会長が、ある記憶と合致した。
もしかして、と思った。
でも、いい記憶ではなかったからそのまま何も口にしなかった。
なのにその記憶に合致する人物がまた一人、目の前に現れてしまう。
これはもう認めるしかないだろう。
あたしは、生徒会長とこの八神って総長に会ったことがある。
記憶の中にはもう一人いるんだけど、まさか……。
そこまで考えたところで、目の前の美しい獣が口を開いた。
……うわぁ……。
丁度中央を空ける形で壁に近い方にいくつかの塊を作っている不良がいる。
あたしはそれらに囲まれているような状態だ。
緊張か恐怖か。
あたしの呼吸は浅くなる。
でもその呼吸も、部屋の奥……数段高くなっている場所に座る男を見て数秒止まった。
硬質そうな黒髪。
そして同じ色の瞳は燃えるような力強さを感じる。
顔立ちは線の細さも感じられるほどの美形なのに、その目力だけで野獣のような印象を受けた。
多分、この人が《月帝》の総長。
さっき久保くんが八神さんと呼んだ人物だろう。
あたしは彼を見て、昼から思っていたことが的中してしまったことを知る。
生徒会長が、ある記憶と合致した。
もしかして、と思った。
でも、いい記憶ではなかったからそのまま何も口にしなかった。
なのにその記憶に合致する人物がまた一人、目の前に現れてしまう。
これはもう認めるしかないだろう。
あたしは、生徒会長とこの八神って総長に会ったことがある。
記憶の中にはもう一人いるんだけど、まさか……。
そこまで考えたところで、目の前の美しい獣が口を開いた。



