「うっふぇ……」

 また突然泣き出したあたしに久保くんはギョッとするけど、あたしはすぐにぶり返したものを止めることが出来なかった。

 バレたのに黙っていてくれると言う久保くんに安心したのもあったと思う。


「ファーストキス、無理矢理奪われた事があって……次こそは好きな人としたいって、思って、たからっ! ぅあーん!!」

 ここまで泣いてしまう理由を震える声で告げると、後はもう涙が止まらなかった。

 実際にはファーストキスどころじゃないんだけれど、その辺りを詳しく話すこともなく涙があふれ出る。


「お、おい。お、落ち着け? もう大丈夫だからさ、な?」

 慌てて慰めてくれる久保くん。

 本当に、何でいきなりこんな風に優しくなったのかは分からないけれど、今はその優しさが本当にありがたかった。


 触れるか触れないかのところで頭を撫でてくれたので、ついそのまま彼の胸にすがってしまう。

「っ!!?」

 突然すがり付いてしまったからか、身を固くしてしまう久保くん。

 そういえば最近はあたしに触ろうとしてこなかったもんね。
 そんな相手にすがり付かれたら迷惑なのかも。


 ごめん、でもちょっとだけ。

 今、涙を引っ込めるから……。