あーやだなー。
行きたくないー。
でも振り払って逃げたらそれはそれで面倒なことになりそうな予感がする。
とはいえ、転入してきたばかりのあたしに会って何をするというのか。
一番考えられるのは転入生がどんな奴か見てみようかな、ってところだろうけど……。
それなら奏が連れてこられていないのはおかしい。
やっぱり理由も何も分からないなぁ。
うん、ここはとりあえず一度会ってみるしかないか。
逃げちゃダメっぽいし。
あたしはそう結論付けて、大人しく久保くんについていくことを決めた。
そうしてついた場所は北校舎の四階にある一室。
もはやどの場所に当たるのかは分からない。
ただ、ドアには第二音楽室と書いてあった。
音楽室が不良のたまり場になってるのかぁ……。
何か変な感じ。
久保くんはノックも何もせずドアを開けると、あたしの腕を掴んだまま中に入って行った。
「八神さん、連れてきたっすよ」
そう言って、あたしを部屋の中央に投げるように腕を離す。
あたしは放り投げていいボールじゃないっての!
心の中で悪態をつきながら、転ばないようにたたらを踏む。



