八神さんの答えには何だそれとしか言えない。

 坂本先輩はもっともらしいことを言っているけれど、わざわざこんな風に追いかけてまでしなくちゃならないことじゃない。


「いいから一回止まれって! 美来!」

 そう勇人くんが叫ぶけど、ぞろぞろと追いかけられて普通に怖い。

 止まりたくない。

「む、無理ー!」

 あたしはそう叫ぶと、路地裏の方へと入り込んだ。


 もう()いてしまうしかない。


 そんな感じで、奇妙な鬼ごっこが始まってしまった。


 ……。

 でもこれどうしよう。

 逃げずに誤魔化した方が良かったのかな?


 逃げまくりながら考える。


 なんだかとんでもないことになって来て、記憶を振り返ってみた。

 ……ううん。

 きっとあのまま一緒にいたら目の色はバレていた。

 《かぐや姫》だってバレたに決まってる。


 八神さんはともかく、如月さんと坂本先輩は普段の様子から考えても疑われている気がするし。


 だからやっぱり逃げるって選択肢しかなかったんだ。


 でもだからってこの状況どうしよう。

 一度撒いてしまったら奏に言われた通り眼鏡を外して髪を解く?

 でも服装は同じだしバレるよね?


 逃げながら考えて、どうするべきか答えが見つからない。


 本当にお手上げって思いながらも逃げ続けていると――。


 むぎゅっ


 何か、地面とは違うものを踏んでしまった。