総長二人と生徒会長はマズイ。

 あの三人は常日頃からあたしの事を《かぐや姫》だと疑ってかかってる気がするし、適当な事を言っても誤魔化されてくれなさそう。


 とにかく、近くに来られたら逃げようがなくなる!


 そう思ったあたしは近付いて来る双子に早めに声をかけた。

「あ、奇遇だね! あたしはもう帰るところだから。じゃあねー」

 そして少し大げさに手を振って早歩きをする。


 真っ直ぐ行くと逆に近付いてしまうから、別ルートを選んだ。


「え? 美来!?」
「ちょっと待てよ!?」

 でもまあ二人はそんなあたしの態度を不審に思うに決まってる。

 呼び掛けながら追いかけて来た。


 追いかけてこないで欲しいと思いながら軽く振り返るとギョッとする。

 だって、追いかけてきてるのが二人だけじゃなかったから。


「何でみんなで追いかけてくるんですか!?」

 よりにもよって、集団のみんなが追いかけて来る。


 思わず叫んだ言葉に反応したのは如月さんだ。

「丁度俺もお前に用があったからな。とにかく止まれ」

 命令されるけど、直感的に止まったらダメなやつだと思った。


「ほ、他の皆さんはどうして!?」

 足をさらに速めながら聞いてみる。


「あ? お前が逃げるからだろうが」

 と言うのは八神さん。


「せっかくだから生徒会の仕事のことを話しながら寮に送ろうと思ってね」

 と言ったのは坂本先輩。