「ほら、これ荷物。気をつけろよ?」

「……なんとなくそうだろうなって思ったけど、奏は一緒に帰ってはくれないんだね?」

 一応聞いてみると。

「まあ、女三人でいたらさっきみたいにからまれそうだしな……。それに、お前なら大丈夫だろ?」

「ま、そうだね」

 確かにさっきみたいなことになったら三人の方が心配だ。

 あたしなら一人でも対処出来るし、帰るだけなら大したことも起こらないでしょう。


 そう判断したあたしは奏の言う通りに一人で帰ることにした。


「香と奈々には何とか誤魔化しておくから、気をつけて帰ってね」

 しのぶにもそう言って見送られ、あたしはカラオケを後にした。



 まさか、大したことが起こるなんて欠片も思わずに……。