「きっ嫌いなわけないよ!?」

 あざとくても好きな人にそんなことをされたらテンパるのも普通だろう。

「確かに美来とそっくりだけど、でも奏はちゃんと男の子に見えるし、カッコイイし! でもみんなに知られたくないから普段は眼鏡かけてて欲しいかなとか思ったりってあたし何言ってるんだろう!?」

 しのぶは言わなくてもいいことも口走ってる。


 まあ、言われた奏は嬉しそうだから良いと思うけど。

「そっか、ありがとう」

 と、しのぶの頭にポンと手を置いて優しく微笑んだ奏は、表情をガラリと変えてあたしを見た。


「とにかく、お前は何とか学校の連中にバレない様に寮まで帰るんだ。万が一バレそうな状況になったら、眼鏡を取って髪も解いておけよ?」

「え? そんなことしたらそれこそ《かぐや姫》だって言ってるようなものじゃない?」

「そうだよ。でも変わる瞬間は見られるなよ? 地味な格好の美来と、《かぐや姫》のつながりを一切感じさせない様にしろ」

「ああ、そういう事ね」


 つながりさえ気づかれなければ、《かぐや姫》が現れたとしてもあたしが《かぐや姫》だとはバレないってわけだ。