「しのぶにも後でちゃんと説明するから。だから黙っててね? 本当にお願い!」

 しのぶなら大丈夫だとは思いつつも、うっかり話してしまわないように念を押す。


「もちろんだよ。今まで隠してたんだから、事情があったんでしょ? それに美来のその素顔がみんなにバレたら……今まで以上に大変なことになりそうだし」

 最後の言葉は流石に大げさだと思ったけど、事情を察して黙っていてくれると言うしのぶに感謝する。

「ありがとう、しのぶ」

「いいよ。……っていうかさ、美来の素顔があれってことは……もしかしなくても奏もイケメン?」

「そうなるかな? 見る?」

 当然だけど、奏の素顔にも興味を持ったしのぶは少しためらいつつも「うん」と答えた。


 眼鏡を外し、「どう?」と聞く奏に頬を染めたしのぶは――。

「っわぁ…………似てるね」

 普通にそんな感想を零した。


「まあな。これからの成長でもう少し変化はあると思うけど、今はまだ似てる部分が多いんだよな」

 そう話しつつ、奏はしのぶに近付いて行く。

 そして顔を近付けるとコテンと首を傾げた。


「しのぶは俺のこの顔、キライ?」

 あざとい。

 瞬時にそう思ったあたしは悪くないと思う。

 だって、その仕草絶対狙ってやってるもん。