「あ、ああ。……ちょっと集まりがあってな」

 答えながら久保くんはあたしをチラチラと見ている。

 そんな盗み見る様に見なくても、目の前にいるんだから普通に真っ直ぐ見ればいいのに。


 ちょっとイラッとしたあたしは「久保くん!」と強めに呼ぶ。

「な、何だよ?」

 驚きのためかやっと真っ直ぐ見てくれた。


「どうして突然態度が変わっちゃったのかは分からないけど、そうやって盗み見る様なことはやめて? で、言いたいことがあるならハッキリ言って」

 せっかくなので、最近思っていることをキッパリ言ってやった。


「ぬ、盗み見るって!? そんなつもりは……」

「じゃあ何で見てるの?」

「そ、れは……」

「言って」

 強くうながすと、久保くんは物凄くためらいつつ口を開いた。


「それは……お前が可愛いから……」

「え?」

 ガチャ

「美来、お待たせ。……ん?」


 聞き出せたと思った途端奏がドアから出てきた。

「久保? なに? 美来になんか用?」

 久保くんと目が合った奏は、笑顔を浮かべつつも淡々とした口調で聞く。

 すると何故か久保くんは視線を泳がせて「いや? なんでも?」と誤魔化した。