「おやおや、誰かと思ったらムッツリの高志くんじゃねぇの」

「なっ!?」

「は? ムッツリ?」
「高志が?」

 あからさまに動揺する高志。

 そして驚く双子。


 これはしばらくはこのネタで遊べそうだな、と少し面白くなった。

 だが……。


「ムッツリじゃない! 大体、あんな風に赤面するのは星宮さん限定だ!」

 そう言い切る高志に、何かモヤッとしたものを感じる。

「あ?」

「星宮って、美来のことか?」
「赤面って何があったんだよ!?」

 俺だけじゃなく、双子も何か思うところがあったらしい。

 俺よりも高志に突っかかっていた。


 でも高志は「そんなことはどうでも良い!」と切って捨てて、自分の要件を口にする。

「とにかくお前達が揃っているなら話が早い。そろそろ文化祭の準備も本格化する。不良達の管理は任せたぞ?」

 その言葉に俺は興ざめした。


 不良達の管理。

 暴走族と銘打ってはいるが、しょせんは学校側の都合のいいグループ分けでしかない。


 元々お坊ちゃんな双子は素直に「分かったよ」なんて言っているが、お坊ちゃんでも何でもない普通の不良の俺は「けっ」と吐き捨てた。