あー……リンチかぁ?

 ふつーにそう思った。


 でも女だけのリンチならそう大したことにはならねぇだろうと、この時は放置する気満々だった。

 そうして一度止めていた足をまた動かそうとしたとき、声が掛けられたんだ。


「あ、おい久保!」

 うるせぇ声に足を止める気にはならなかったが、続くもう一人の声で止めざるを得なくなった。

「待てよ! 美来知らねぇか?」

「あぁ?」

 聞かれて、何でこいつらが探してんだ? と思った。

 そしてすぐに答えにたどり着く。


 ああ、お気に入りを救出してやろうってやつか。はは、ウケる。


「何か女子連中に連れてかれたらしいんだよ」

 と、経緯を説明してくる青い髪の勇人の言葉を黙って聞きつつ考える。


 さっき見たことを教えてやるのは簡単だが、別に大したことにはならねぇだろうに助けとかいるか?

 でもこれ以上こいつらに絡まれるのも面倒だしさっさと教えた方が楽か?


 そうやって天秤にかけていると、またさらに面倒そうなやつの声がした。

「おい、お前らこんなところで何してる?」

 真面目くんを体現しているような男がつかつかと近付いてくる。


 面倒だとも思うが、俺はニヤリと笑って口を開いた。