それに案外イイ声出すし、いつも掴んでいる手首がほそっこいわりにほど良く肉付いてて……なんかこう、ムラムラしたんだよな。

 しかも同じ第二学生寮に住んでて部屋も近い。

 セフレにするには丁度良いって思って当然だろ?


 性格も案外サバサバしたとこあるしな。


 それでも、女として見ても、やっぱり優しくなんてしてやるつもりはなかった。

 八神さんにセフレにすんなって言われたときに、じゃあカノジョならよくね? ってすぐに思ったときは自分でもちょっと驚いたけどな。

 カノジョなんて面倒で作ったことなんてなかったし。


 まあそれでも美来とヤるための理由づけにそう思ったんだと自分でも思ってた。

 昨日の放課後までは。


「ホント、何でこーなっちまったんだか」

 呟いて、今度は自嘲する。


 昨日の光景が脳裏に焼き付いて離れない。

 あのとき感じた衝撃が、ずっと胸を焦がしている。


 どうして女の美来に優しくしてやってるのかは分からねぇが、他の女とは全然違うと認識したのは明らかだ。


 昨日の放課後、《月帝》のたまり場に向かう途中だったか。

 確か渡り廊下の辺りを歩いていたとき、美来の姿を窓の外に見つけたんだ。

 数人の女子に連れられて、倉庫の方へと歩いて行く所を。